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圧迫骨折と偽関節
(ぎかんせつ)

整形外科 小倉 洋二立川病院/柏たなか病院

■ 脊椎の圧迫骨折と偽関節について
脊椎圧迫骨折とは、脊椎(背骨)が押しつぶされるようにして変形してしまう骨折です。しりもちのような転倒で起こりますが、重度の骨粗しょう症では外傷なく起こり「いつの間にか骨折」とも言われます。圧迫骨折は3-6か月で骨がつき(骨癒合)痛みが和らぐのが普通ですが、コルセット装着等の治療をしっかり行っても骨癒合しない場合があります。この状態を偽関節といい、腰痛が長引くのみでなく下肢痛やしびれ、麻痺、排尿障害などを生じることもあります。

 

■ 偽関節の診断
偽関節の診断にはX線検査やCT、MRI検査を行います。
体の側面から撮影するX線像では、腰かけている状態(坐位)と仰向けの状態(仰臥位)における骨折椎体の形態変化、CTでは骨折部の治癒(骨癒合)の程度や椎体の壁の破壊の程度、MRIでは骨折に加え脊髄・馬尾神経への圧迫の有無などが確認されます。

 

■ 偽関節の治療
偽関節の治療はコルセット装着や骨折の原因である骨粗しょう症に対する薬物療法を十分に行いますが、保存療法で痛みが改善しない場合や、下肢の痛みや麻痺、排尿障害を伴う場合は手術療法が望まれます。

手術は骨セメントを骨折部に注入・充填する椎体形成術(BKP)という方法と、スクリューを骨折部位の上下に挿入して安定化させる脊椎固定術という方法があります。いずれも全身麻酔で行い、BKPは約30分、固定術は当院の例で1-2時間の手術時間です。入院期間はBKPでは数日、固定術では1-2週間程度です。

脊椎圧迫骨折は加齢に伴うありふれたものですが、痛みによる日常生活への影響は大きく、発症早期より適切な診断・治療が望まれます。また、いずれの手術方法も適応が異なり、メリットとデメリットがあるため、主治医と相談しながら手術方法やタイミングを決めていく必要があります。手術後は骨粗鬆症の治療も並行して行っていく必要があります。