整形外科部長 岩村祐一横浜掖済会病院
働き盛りのいそがしい人で、普段ちょっとした腰痛や手足のしびれに気づいてわざわざ病院に行く人はいませんね。日常の動作を加減したり少し休んだりごまかしているうちに、いつの間にか消えてしまうこともあるからです。誰しもが似たような経験があるでしょう。
しかし、現代の世の中は特に中高年にとって心身ともにストレスが多く、その一方で寿命が延びて一昔前では考えられないほど元気な高齢者が増えているため、現役の世代とリタイアした世代の双方に、日常生活に支障をきたす頑固な腰痛が忍び寄っています。国民の訴える最も多い症状が“腰痛”であることは、そのような背景があると思います。
医者であるわれわれは、庶民の生活の目線に立って、現役の世代に対してはできるだけ早く仕事に復帰できる最善の治療を示し、腰痛の再発しない生活を共に考えていくこと、元気で活発な高齢者に対しては、今後どういう余生を過ごしたいかという人生観に基づいた治療を示し、できるだけ生活の質を落とさないことを目標にします。
その一方で、歩けないほどの強烈な腰痛、足の痛みやしびれに加えて、膀胱直腸障害など神経症状が高度な場合では、早急に精査を行い診断し、手術的治療の必要性について必要性について迅速に判断します。
脊椎の炎症や癌の転移など、腰痛の陰にひそむおそろしい病気の可能性についても、われわれは常に念頭において日常の診療に取り組んでおります。
どうぞ、ご遠慮なくご相談ください!