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脊椎脊髄手術は進歩しています

脊椎脊髄センター 四方 實彦学研都市病院

学研都市病院の脊椎・脊髄センターは、平成18年4月1日、京都、大阪、奈良の三府県にまたがり世界的な学術研究機関が集中する関西文化学術研究都市に誕生しました。
2年9ヶ月の間に頚椎314例、胸椎30例、胸腰椎46例、腰椎805例、その他22例、合計1217例の手術実績を残しております。
約40年前には、脊椎疾患の診断はもっぱらレントゲン検査と脊髄造影検査しかありませんでした。その後、CTやMRIが次々と開発され、その精度の向上につれ、脊椎・脊髄疾患の診断能力は格段に向上しました。
手術も、昔はノミと槌でやっていたような状態でしたが、サージエアトームが普及し、顕微鏡や内視鏡の使用により繊細緻密な手術が可能となって安全性も高まり、手術侵襲も小さくなり、術後の回復も格段に早くなりました。
また、変形したり(側弯症、後弯変形、後側弯症)、安定性を失った背骨を矯正し支持性を獲得するために器具を挿入する手術手技(インストゥルメンテーションサージェリー)、脊椎内固定器具(インプラント)もずいぶん進歩しました。 昔はステンレス製だったのが今はチタン製になり、種類も1種類しかなかったのが100種類以上の中から症例に最適の器具を選べるようになりました。

腰痛に悩む患者さんの中には「痛いけれど、切るのは怖い」と言って、整形外科を受診せずに民間療法などを渡り歩いている人が沢山いますが、早く正確な診断を受け、根本から治すことをお勧めします。
痛みを抱えていると精神的につらい毎日となり、活動が低下し、仕事を長期間休んだり、家に閉じこもったり、挙げ句の果てにうつ病を併発したりして、手術を受けても治りが悪くなります。
コルセット、理学療法、薬物治療などによる保存的治療が適する場合もあります。 当院では半年~1年の間、保存的治療を続けても治らなかった人や、他院で手術を受けても満足な結果が得られなかった患者さんが数多く紹介されて来院されます。 また、高齢者の腰部脊柱管狭窄症や骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折が急増し、週に10~12例の手術を施行しても手術待ちの患者さんが増え続け、現在6~7ヶ月待ちの状況となっており、大変心苦しく思っております。 今後よりいっそう、医師、看護師の充実をはかり、患者様のご要望に迅速にお答えできるよう努力していきます。