顧問 中井定明医療法人 慈和会 吉田整形外科病院
背骨は脊椎骨と椎間板からなる動きのある柱です。頭から骨盤までをつないでおり、体を支える機能と、頭の中の脳から出た脊髄などの神経を保護する役割を担っています。
これらの機能が破綻するのは、年齢により脊椎骨や椎間板が老化した場合と、外傷により背骨に耐えられない力が加わった場合のほか、原因不明で背骨が曲がる病気に大きく分けられます。
加齢によって脊椎骨が骨粗鬆状態になり、軽微な外力によって壊れることがあります。椎間板は加齢によってクッションとしての機能を失い、扁平化し、腰や背中が前や横に曲がってしまい、体を支える機能が損なわれます。脊椎すべり症や、多発性の脊椎圧迫骨折による脊柱変形がこれに該当します。
脊柱側弯症は、原因がよくわかっていない場合が多いですが、背骨が大きく曲がり、体を支える機能が破綻します。
これらの病気は痛みを引き起こしますが、現在では、金属などの人工物を使って体を支える機能を再獲得することができます。神経の入れ物としての機能は、背骨の配列を直すことにより修復できることが多く、必要に応じて除圧手術を同時に行なって神経への圧迫を取り除き、神経麻痺や神経由来の痛みを取り除くことができます。
手術や麻酔は人の体にとっては不自然な出来事であり、危険を伴いますが、以前より危険性は低くなってきています。金属などを使って背骨の機能を再建する手術がもたらすものが極めて大きいことも事実です。